山崎製パンが発がん性物質「臭素酸カリウム」使用を再開したのは悪か?
山崎製パン株式会社(ヤマザキパン)が2020年3月、「超芳醇」に発がん性のある食品添加物「臭素酸カリウム」を使い始めました。
これは、悪なのでしょうか?
山崎製パンの意図するところを客観的に分析しました。
「超芳醇」への「臭素酸カリウム」添加再開の背景
臭素酸カリウムは、パンをふっくらさせるために使われています。
1977年(昭和57年)、厚生省(現 厚生労働省)の安全性確認研究で、「変異原性」を確認しました。
「変異原性」とは、遺伝子の配列や染色体の構造や数に対して、元に戻らない変化を与える物のことです。
簡単に言うと、「癌になる可能性のあるもの」という事でいいです。
「必ず癌になる」ではなく「癌になる可能性がある」という事です。
これにより、多くのメーカーや町のパン屋さんも使用を臭素酸カリウムの使用を控えました。
1982年(昭和57年)、国立衛生試験場で行ったラットを使った実験で、肝臓への発がん性が認められました。
※人間へのテストはされていません。
ただし、厚生労働省はパンに限り最終製品に残存しないと言う条件の元、使用継続を許可する。
これにより、多くのメーカーが臭素酸カリウムの使用を再開しました。
1992年(平成4年)、JECFAが「臭素酸カリウムを小麦粉に使うのはあんまりよくない。」と言ったことから、国内メーカーは再び臭素酸カリウムの使用を自粛しました。
2004年(平成16年)、高精度の分析法が開発され、ほとんど臭素酸カリウムが完成品のパンに残存していないことを確認することができるようになったことから、山崎製パンは臭素酸カリウムの使用を再開しました。
2008年(平成20年)、渡辺雄二氏の「ヤマザキパンはなぜカビないか―誰も書かない食品&添加物の秘密」という本がネット上で話題になり、「ヤマザキパンは、発がん性物質を利益のためにためらわず使う悪い企業」と言う内容を一部の週刊誌が書きました。
ちなみに、渡辺雄二氏は、『朝日ジャーナル』『週刊金曜日』『中央公論』『世界』『新潮45』などに執筆していた方です。
2014年(平成26年)、品質の良い臭素酸カリウムを製造しているメーカーが、臭素酸カリウムの製造を終了したことから、山崎製パンも臭素酸カリウムの使用を中止。
ちなみに、山崎製パンが認めた企業は日本に1社だったそうです。
2015年(平成27年)、渡辺雄二氏が「新・ヤマザキパンはなぜカビないか―誰も書かない食品&添加物の秘密 」を出版。
2020年(令和2年)2月25日、山崎製パンが、自社サイトで臭素酸カリウムの再開を告知。
※法律的には告知義務はない。
⇒ 小麦粉改良剤「臭素酸カリウム」による角型食パンの品質改良について(山崎製パン公式)
⇒ 食品衛生法で定められた臭素酸カリウムの使用基準等について(山崎製パン公式)
2020年(令和2年)3月、山崎製パンが「超芳醇」と「特撰 超芳醇」に臭素酸カリウムの使用を再開しました。
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臭素酸カリウムを使っていないときは何を使っていたのか
山崎製パンだって、2014年から2020年までは臭素酸カリウムを全く使っていませんでした。
その間は、何を使っていたのでしょうか。
山崎製パンのサイトによると「ビタミンC」を使っていたみたいです。
ビタミンCを使った方が安くて、会社が儲かるのではないか、という疑念を持っている方もおられるでしょうから、「ビタミンC」と「臭素酸カリウム」はどちらが高いのか調べてみました。
ビタミンC 950g
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臭素酸カリウム 500ml
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楽天市場で調べた限りでは、臭素酸カリウムの方が6倍くらい高いみたいです。
品質などにより、価格が変わる可能性はありますが、ビタミンCの方がメジャーで、生産量も多いと思われることから、価格も安くなる傾向にあると思われます。
山崎製パンの基準、臭素酸カリウム0.5ppb以下は安全か
現在、臭素酸カリウムを検出するための検査装置で測れる最小の量は、「0.5ppb」です。
ppbは、 「parts per billion」の頭文字をとって作られた単位で、十億分の1を表す単位です。
10億分の1と言われても分かりにくいので、分かりやすい例えで表すと、25mプールで8コースあったとします。
深さが1.5mになる様に水を入れると、学校のプールくらいになります。
プールの水の量が、600,000リットル(=25m×16m×1.5m=600m3)くらい。
ここに0.6㏄の量の臭素酸カリウムが入ったのが、10億分の1です。
ちなみに、1㏄は1㎝×1㎝×1㎝なので、おおざっぱに考えるならば、学校のプールに角砂糖を3/5個入れたくらいの濃度です。
臭素酸カリウムは、発がん性があるのは間違いないようですが、山崎製パンの芳醇に使われる量ならば、そこまで気にする必要はないと思われます。
山崎製パンの臭素酸カリウムについては、陰謀論的な話も多いので、踊らされないだけの十分な情報も持つようにしましょう。
臭素酸は水道水にも含まれていて、臭素酸として10ppb以下という基準が設けられています。
ミネラルウォーターにも含まれています。
ちなみに、ミネラルウォーターと水道水ならば、水道水の方が基準が厳しいです。
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ミネラルウォーターの臭素酸の基準値は、0.01 mg/L以下です。
これだと、先ほどのプールには6kg入っていることになります。
砂糖袋6袋分ってことですよね。
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山崎製パンの臭素酸カリウムの残留について「発がん性物質だから使っている山崎製パンは身体に外があるから食べない方が良い」と言う場合は、水道水にも言う必要があり、ミネラルウォーターなどは、極悪になってしまうことも知っておきたいですね。
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